着火剤の思わぬキケン
キャンプやバーベキューに欠かせない着火剤
着火剤の思わぬ危険と防止策
キャンプやバーベキューには今や欠かせないアイテムである着火剤。しかし、使い方ひとつ間違えるだけで大変危険な事故に繋がってしまいます。その中でも、特に毎年事故が多発しているのがゼリー状の着火剤です。便利で持ち運びやすく、気軽に使用できるだけに、最善の注意が必要です。着火剤の特徴をしっかりと認識し、安全なキャンプ・バーベキューを楽しみましょう。
■ゼリー状着火剤の主な特徴
成 分 | 形 態 | 容 器 |
---|---|---|
メチルアルコール(別名メタノール) | ほとんどがゲル化剤でメチルアルコールをゼリー状に加工してある | マヨネーズのような柔らかいポリ容器で搾り出すような形が多い |
メチルアルコールとは?
別名メタノールとも言われ、学校等でよく使われているアルコールランプの燃料や、殺菌等にもしばしば使われます。着火剤等に気軽に使用されますが、発火性が強く、人体に入った場合、中枢神経を冒し、めまいを起こしてしまうケースや、大量に吸入した場合、失明に至るケースもあり、火災や人体に危険を及ぼす可能性がある為、扱いには最大限の注意が必要になります。
メチルアルコールは引火点が低い為、「消防法」により規制の対象となっています。「危険物」に指定されており、ゼリー状着火剤は「第2類 可燃性個体」の「引火性個体」です。危険等級は最も低い「3」ですが、着火剤は正しく使用しなければ、大変危険だということになります。
事故のケース・その1【見えにくい炎!】
メチルアルコールや灯油の特徴として火をつけた際「炎が見えにくい」ことが挙げられます。特に太陽の下では火がついていないように見え、炎の上に着火剤を継ぎ足してしまうことによって起こる事故が毎年多発しています。
炎の上にゼリー状着火剤を継ぎ足すとどのような事が起こるのか?
防ぐにはどうする?
燃えやすい紙などを長いトング等で持ち着火剤の上にかざし、燃焼中かどうかを確認する。一度火がついたら絶対に継ぎ足さないこと。
事故のケース・その2【着火剤放置の危険!】
メチルアルコールの特徴として「揮発性が大きく、引火しやすい」というものがあります。ゼリー状着火剤を絞り出し、バーベキュー等の準備をしたまま放置すると、着火剤の成分メチルアルコールは蒸発します。蒸気の重さは空気とほぼ同程度の為、広く拡散し爆発性の混合ガスを作り出し、火をつけた途端に爆発する可能性があります。
防ぐにはどうする?
着火剤は一度で使い切り、使いかけの着火剤を放置したりしないでください。
また、火の近くに置かないように常に注意してください。
使用上の注意
- 着火剤を容器から搾り出したら速やかに点火しましょう。
- 混合ガスが空気中に拡散し爆発を起こす可能性があります。
- 点火後は火が安定するまであまり近づかないようにしましょう。
- 着火剤が燃え尽きないうちは、着火剤が跳ねたりして火傷を負う危険性があります。
- 火がついていないように見えても着火剤は絶対に継ぎ足さないでください。
- 炎が大変見えにくく燃焼していることに気づかず、炎の上から着火剤をかけると引火し着火剤容器の内部で爆発が起こる可能性があります。
- 着火剤は一度で使い切ること。
- 使いかけの着火剤の容器の中で着火剤が気化し、爆発性混合ガスがたまり大変危険です。
- 使用中は濡れタオルやバケツにたっぷりの水を用意し、万が一の事故に備えましょう。